広洋舎の母娘の夏の旅行について、ごく個人的な日記をあげて行きたいと思います。

●自分の備忘録として書いていたものなので、脈絡もなく、とても長いです。ご興味ない方はお避け下さい。


パリ編 (前編)



今回の旅は、フランス、ベルギー、ドイツと3カ国を回る買い付けも兼ねた旅行で、まずは慣れ親しんでいるフランスから入りました。


中国国際航空(AIR CHINA)で、上海経由。パリに着くまで成田から18時間ほどかかりました。長いけど、安いチケットだから仕方ありません。


機内では2本の映画を見ました。カナダはケベックの映画とフランス映画。どちらも恐らく日本では公開されないであろう地味でマニアックな作品だったけど、とても好きでした。disparition de lucioles ホタルの消滅?というタイトルのケベック映画は、女子高生が主役で、人生に迷いながらも周りの人を介して大人になっていくという、青春映画にお決まりの内容なのだけど、音楽に私の大好きなarcade fireを使っていたりして、震えました。もう一本はla première annéeという、freshmanという英題のフランス映画。医大生の男子2人の友情の話。こちらも良かった。勉強してる地味なシーンが多くて、若い男女が出てるのに珍しく恋愛模様が一切ないフランス映画。5の数え方が斬新だった。日本では正の字だけど、フランスは四角に斜め線のよう。


そんなこんなでまだ暗い明け方に着いた、たぶん78年ぶりのフランス。楽しみで仕方なく、シャルルドゴール空港に降り立った時は胸が高鳴りました。


が、しかし。


旅にハプニングは付き物ですが、まさか自分が、パリに着いたその日にスリに遭おうとは夢にも思いませんでした。


フランスには何度となく足を運んでおり、何なら若い時に1年半ほど住んでいたけど、齢四十を迎えようというこの歳まで、スリに遭うということを想像したことがなかった。完全に油断していました。「自分は絶対大丈夫」という訳の分からない過信怖い!


私がパリに住んでいた20代前半の頃に、母が遊びに来てくれて、その初日に母がやはりスリに遭ったのですが、その時は散々呆れたり罵ったりしていました。


なので、乗り換え駅でメトロに乗った時に、私のリュックが半分開いていて、中に入れていた大事なもの一式を入れたポーチが丸ごとないことに気づいた時は、顔面蒼白、何が起こったのか分からないという感じでした。一度スられたら、こちらでは絶対に出てこないということが分かっているから。


この旅では、買い付けもする予定だったので成田空港で多めに両替していました。その現金もまだほとんど使っておらず、もちろんクレジットカードや、成田空港で借りたWi-Fi機器、モバイルバッテリー、家やお店の鍵などが入ったケースも全て入っていました。頭真っ白になりながらも、予約していた民泊の宿泊先に行き、カードなどを止める電話を片っ端からする始末。泣きそうになりながら。


人には「注意しろ」と散々言いながら、自分が盗まれるという事態に、浅はかな考えだった今までの人生まるごと反省して、相当凹んだ旅の始まりでした。


おそらくですが、メトロのホームで路線図のボードを見ている時に、横に座っていた人に開けられたのではないかと。パスポートとスマホは別に入れていたのが、不幸中の幸いでした。


電話が終わってから、警察に盗難届をもらいに行きました。最初は「数時間待つよ」と言われたのだけど、なんと1人の警官が融通を利かせてくれ、タブレットを持ってきて、私の話を聞きながら必要な情報を全て入力してくれ、その場で書類をメール送信してくれました(しかも俳優みたいにカッコいい人だった) 。ベコベコに凹んでいた私の心が少し癒されました。フランス人にもこんなに優しい人がいるんだと。


十年以上前に、母の盗難届をもらった時は、まだほとんどフランス語が話せなかったので、親身になってもらえず、ここまでやってもらえませんでした。その国の言葉が話せるってすごい。今回はそれを幾度となく感じる旅でした。スリに遭って、危うくフランスを嫌いになりそうでしたが、やっぱり嫌いにはなれなかった。


その後、ポンピドゥーセンターに行き、もうその頃には「起きたことは仕方ない、忘れよう」という気持ちになっていたので、存分に楽しむ方に気持ちを持って行き、マティスやシャガール、ピカソ、カンディンスキー、ウォーホールなどの作品を見て刺激を受けました。


しかし収蔵数の多いこと!常設しか見ていないのですが、それでも3時間ほどかかりました。本当は企画展のフランシスベーコンも見たかったのだけど、スられて凹んでいたし、チケットもネットで予約しなきゃならないと知って断念。


母も疲れてしまったようで、カフェとスーパーに寄ってから家に帰りました。スーパーでタイ米と袋サラダ、水を買って、晩ご飯はご飯を鍋で炊き、日本から非常用に持ってきたレトルトカレーという味気なさ、、でも美味しかった。


色々あった初日。長い長い一日でした。


(つづく←この熱量で書き続けられるか、いささか不安です)


この頃にはもう忘れよう、という気持ちになれてて良かった

●パリのカフェ考●


初日の朝、パリに着いてから、朝ごはんを食べたくてサンミッシェルの何でもないカフェに入った。こちらはカフェ文化が古くから根付いてるので、どんなカフェにも常連客がいて、店主とビズをしたり、世間話で盛り上がっている。そのせいで注文が遅れたりもするが、そんなことは誰も気にしない。とにかくカフェの敷居がものすごーく低い。呼吸するように、トイレに行くようにカフェに寄る。


パリを訪れる皆さんに激しくおススメしたいのだが、パリに行ったら、まず何でもないカフェに入って欲しいと思う。ガイドブックや雑誌に載ってるようなおしゃれなお店でなく、地元の人がわんさか入っては出てを繰り返しているカフェ。そういうカフェに、私もなりたい。


立ち飲みのカウンター席が一番安くて、店主とも話せる特等席。エスプレッソなら1€台で飲める。グイッとエスプレッソを飲んで少し話して、じゃーね!と言って帰る老若男女。ここのカフェは男性が入れ替わり立ち替わり、どんどん入ってくる人気店だった。たしかにマダムが感じよくて優しかった。


私たちは当然テーブル席に座って、クレープを頼もうと思ったらまだやってないとのこと。残念だけど、ハムのサンドイッチとハムチーズのパニーニ、カフェクレームを頼んでゆっくり人間観察する。


これが本当に楽しい。カフェでフランス人を観察するのが大好きだったことを久しぶりに思い出す。絵に描きたくなる人々がいっぱいいて、みんな個性的で素敵なんだ。


パニーニが来るのが遅いので、持ち帰って良い?と聞くと包装してくれて、立派な次の日の朝ごはんとなった。ささいなことが、なんて楽しい!と浮かれていたのが、数分後に起こる悲劇に繋がるのだが…幸せな私はまだ知らない。

なんでもないバゲットサンド。ハムとバターしか入ってないのにすごく美味しい。

ニース編


翌日はニースへ飛行機で行きました。

朝早いので何も食べずに、電車の中で、昨日持ち帰りにしてもらったパニーニを食べる。やっぱりとても美味しい。単純にハムとチーズが美味しいから。そしてホームで乗り換えの電車を待っていると、これが全然来ない来てもその駅止まり。他の人たちも困り顔で、近くにいた黒人男性に「オルリー空港に行きたいのだけど、電車が動いてないの?」と聞くと「ストだと思う。Gilet jauneの」とのこと。出た!ジレジョンヌ!!


政府の方針に反対する人たちの活動を指すジレジョンヌは、黄色いベストという意味のフランス語で、賃金の上昇を要求したり、諸々の国のやり方に不満のある人たちによって昨年末に始まったデモ活動なのだが、まだやっていたとは。そしてその洗礼を受けるとは!


そこでその黒人男性は、自分もストのせいで仕事に遅れそうだというのに、空港への行き方をわざわざ自分のスマホで調べてくれた。私たちには今、ポケットWi-Fiがないので、スマホ画面の写メを撮らせてもらう。こうして助けてもらうことが多くあり、フランス人はやっぱり優しいと私は感じている。他にも例えば、切符がなぜか使えなくて焦ってる母を、「一緒に通ろう」と言って自分の切符で外へ出してくれたりして、困ってる人を放っておかない国民性だと思う。


急いで教わった手段で乗り換えるも、次に降りた駅でもまたストに遭い、行く手を阻まれる。やばい飛行機に間に合わないかもと焦っていたら、タクシーがたまたま1台だけ止まってたので、空港まで急いで行けますか?と聞いたら、もちろん!と言ってくれ、乗ることにする。メトロより高いけど、背に腹は変えられない。このタクシーのおじさんがとても感じよくて、「ジレジョーヌは毎週土曜にやってるの?」と聞くと「そうなんだよ」と言って色々教えてくれた。でもこういうことがあるから、タクシーにとってはありがたいのかもしれない。Bon voyage!と言われて別れる。


そしてニース行きの飛行機へ。今回初めてのエールフランス。ニースへは1時間半のフライト。機内ではマドレーヌとコーヒーが出たけど、美味しかった。そしてあっという間にニースへ着く。トラムに乗って、ニース美術館というところへ行ったら、なんとタダだった!ニースの文化遺産記念日だとかで、今日明日はタダとのこと。

ニース美術館はこんな外観
ニース美術館はこんな外観
何だか分からないけどすごくかっこいい門がある
何だか分からないけどすごくかっこいい門がある

この美術館、展示作品や外観、周りに生い茂ってる熱帯植物も含めて、こじんまりとしてたけどとても良かった。デュフィやロダン、ボナールなんかもあるのだけど、聞いたことなかったジュール・シェレというパステルの画家と、モッサ(息子の方)という変わった画家の絵が素晴らしかった。当たり前だけど、名前も知らない画家でも素晴らしい人はまだまだたくさんいる。ニースに来て良かった!

猫が端っこで寝てる美術館は初めて
猫が端っこで寝てる美術館は初めて
ジュール・シェレという画家。ちょっと不気味なところも良い
ジュール・シェレという画家。ちょっと不気味なところも良い
モッサの自画像。良い〜
モッサの自画像。良い〜
この子も良かった
この子も良かった

美術館を出てから、ご飯を食べるために市内の方へ。jean medesin(ジャンメデサン)という、街のど真ん中の駅で降りたら、すごい人人人!今日何かあるのかな?と思いながら少し歩いて、たまたま見つけたお洒落なお店に入る。


子牛のステーキのマッシュルームソースと、フィッシュ&チップスを頼んだら、すごい量が来た。マッシュポテトも野菜ソテーも大量に付いてきて、でも全て美味しかったので完食。サービス係の男子もオーナーであろうマダムも、カジュアルなのに心遣いが行き届いていて素敵。よっぺ(店長)に、あのマダムを目指してもらいたいと言う。子供たちに飴をあげているのも良かった。みんな常連さんのよう。高めのお店だけど人気なのも頷ける。

こう見えてものすごく分厚いステーキ
こう見えてものすごく分厚いステーキ

せっかくコートダジュールなのだから、海を見ようと海岸に出る。ニースの海辺や近くのかもめをスケッチしたりして、宿に向かう。しかしここでまたストのとばっちりを受け、トラムが動いておらず、宿まで歩くことに。しかも宿に着いても、約束した時間にマドゥーという世話係の青年がなかなか来なくて、結局30分ほど待ってやっと来た。部屋の説明など受けて、マドゥーは帰る。

曇ってて残念なビーチ
曇ってて残念なビーチ

その後、シャガール美術館に行こうとするも、途中で雨が降りだし、そんな中バスも来ないしタクシーも通らないし、あと少しの距離なのだけど、誰か連れてってくれー!と叫びそうになりながら歩き、結局断念する。シャガールはパリでも見たし、こちらでは縁がなかったと思おう。今回は母も一緒だし、スリにも遭ったし(関係ない)、無理はしないことにする。


雨に濡れて冷えたし、疲れてしまったので、宿の近くのカフェに入る。デザートにケーキとプリンみたいなお菓子を食べ、コーヒーといただいていたその時に、ドンドンと太鼓のような音が聞こえてきて、すごい人数が通りを行進してきた。プラカードや段ボールにそれぞれの主張を書いて、大通りを意気揚々と渡り歩く老若男女の姿。それを見ていたら、何故だか感極まってきて、涙さえ出てきた。あの駅での人の多さは、このデモのためだったのだ。

謎のお菓子たち。何だか分からんけど美味しかった。マスカルポーネの何かって言ってた気がする。
謎のお菓子たち。何だか分からんけど美味しかった。マスカルポーネの何かって言ってた気がする。
デモが来るからと店を片付ける店員。店も協力的。
デモが来るからと店を片付ける店員。店も協力的。

色々不便だし不親切だと思うこともあるけど、自己責任の国。そして自分が違うと思ったことは、はっきりとノンを唱えて意思表示する人々。人生の豊かさって何だろうと考えた。日本は本当に民主主義なんだろうか。こんなにストやデモが毎週行われていれば、たしかに国民の声に耳を傾けざるを得ないはず。どうしても、日本は便利さや効率などを優先しすぎてる気がしてしまう。利便性と効率、清潔で正確。素晴らしいことだけど、この4つに関しては日本は潔癖すぎるような気がしたフランス滞在。まだ2日目だけど。デモが見られて、こんな気持ちになれたのだから、美術館に行けなくても良かったかな。


その後は旧市街で、お店で売るものなどを買いつけたり、スーパーで晩ごはんに冷凍パエリアを買ったりして帰る。結局ニースでは観光地にほとんど行かなかったのだけど、とっても良かった。また来たいと心から思う街だった。来年も来ようかね?と話す。

ニースで泊まった部屋。広くないけど快適でした
ニースで泊まった部屋。広くないけど快適でした

パリ編 (後編)


4時台はまだ暗く、電灯が美しい
4時台はまだ暗く、電灯が美しい

翌朝はものすごく早く、4時半には起きて真っ暗な中トラムに乗り、空港で朝ごはんを食べる。ハムチーズのトーストサンドとケークノワというくるみのケーキ。どちらも美味しかったけど、何よりカフェクレームが美味しい。


機内では、またマドレーヌとコーヒー。CAたちが美しくて感じもよく、すっかりエールフランス好きになる。直毛のワンレンおかっぱでメガネのCAの方が素敵で、よっぺもノートに似顔絵描いてた。


パリに戻ってからは、タクシーで一旦家に帰り洗濯してから蚤の市へ。クリニャンクールは初めて行ったけど、規模がとても大きくてびっくり。他の2つとは比べ物にならない、街全体が蚤の市みたいな大きさ。

クリニャンクールの通りで見つけた、ジブリ映画に出てきそうな家
クリニャンクールの通りで見つけた、ジブリ映画に出てきそうな家

お腹が空いてたので、まずご飯を食べる。どうしても英語で話したいらしいおじさんが接客するカフェで、ほうれん草とサーモンのラザニアとクレープのシュガーバター。クレープは正直、うちの方が美味しかった。サン=シュルピス教会近くの、安いけどすごく美味しいシュガーバターのクレープが食べたかったな。


でもこのお店は、トイレが眼を見張る素敵さだった。SFの世界メトロポリスのような。しかもトイレまで手を繋いで連れて行ってくれたムシュウ。そんなサービスいらないけども。あまりに素敵なトイレで、おじさんに「トイレすごいね!!」と言って褒めちぎる。


その後、雨が降ってくる。だんだん強くなって、土砂降りに!それでも色々回って、陶器の置物3つとブリキのブローチ、モントローのお皿など買う。よっぺもリモージュ焼きの器を2つほど。可愛かったし、どこもかなり負けてくれて、よっぺも満足げでよかった。また来ようと言い合う。

トイレへの入口。かっこいい!
トイレへの入口。かっこいい!
ボイラー室とか、そんな感じの通路
ボイラー室とか、そんな感じの通路
こんなカッコいいトイレは見たことない
こんなカッコいいトイレは見たことない

あまりに濡れたので、一旦家に帰って着替える。途中のパン屋でケーキと明日の朝のパンを買って。私はタルトシトロンでよっぺはbanquette de marronsという舟型の栗のケーキ。初めて見たけどすごく美味しかった。家で紅茶と一緒にケーキを食べてから、バスチーユへ。


毎回パリに行くと必ず寄る本屋さん "larbre à lettre"に行ってたくさんの絵本を見て、厳選した4冊を買い、ポストカードも買って出る。まだ晩ごはんには早かったけど、近くのChez Paulに行ってみたら、まだ早いから空いてたので、入ることにする。何度か入ったことがあるので気楽だった。

どちらもすごく美味しい。右は栗のやつ
どちらもすごく美味しい。右は栗のやつ
自分のために買ったのはこの2冊
自分のために買ったのはこの2冊

ギャルソンたちもみんな感じが良い。タトゥーすごいけど。英語で話しかけられたからフランス語で、と言うとあからさまにびっくりして、すごい話せるね!って言ってくれた。が、そんなこと言われるようではまだまだなんだな、、と軽く落ち込む。本当に話せる人は、そうは言われない。


ボルドーの赤ワインと水、エスカルゴとオニオングラタンスープ、ステーキタルタルを注文して食べる。テーブルが小さな店なので、パンが置けなくて、横に小さなスタンドを置かれたのだけど、それがかわいかった。エスカルゴは、よっぺは初めてだったけど美味しいと言っててよかった。そしてオニオングラタンスープがすっごく美味しかった!


ボーズのギャルソンと、料理人らしきギャルソンも何度か声かけてくれたりして、みんな優しい。パンが余ってしまったので、持ち帰りたいと言うと多めにくれたり、会計の時に挟む紙を、これもらって良い?と聞くとウィンクして内緒だよと言ってくれたり。内装の古さや味わい、食事のおいしさだけじゃなくて、サービスも含めてこのお店はやっぱり良いなぁと思った。また来よう。夜遊びスポットのロケット通りを歩いて、バスチーユから帰る。ワイン飲んでたからすぐ寝ちゃったけど、大満足の3日目。もうスリのことは忘れよう。

Chez Paul シェ・ポールという古いお店
Chez Paul シェ・ポールという古いお店
すすめられたボルドーの赤ワインが美味しい
すすめられたボルドーの赤ワインが美味しい
この灰皿的なパン置き場がかわいい
この灰皿的なパン置き場がかわいい
美味しかったエスカルゴとオニオングラタンスープ
美味しかったエスカルゴとオニオングラタンスープ

昨日はワインも飲んだし、疲れてしまってお風呂も入らずにバタンキューだったので、早めに起きるもお風呂入るのはやめて、バトームーシュに乗ることにする。セーヌ川クルーズなんてベタな観光、したこともなかったので逆にとても楽しみだ。よっぺがいなかったら確実に行かなかったであろう。朝ごはんに昨日買ったクロワッサンとキッシュを食べる。このパン屋さん、とても美味しかった!


早めに出て、スーツケースを持ってアルマ橋のふもとに行き、バトームーシュのチケットを買って乗り込む。ほぼ満席だが、中国人の団体が多い。それにしてもカラッと晴れている。こんな天気なのでクルーズはとても気持ちよかった。パリの名所を巡って、ノートルダムの惨状も見られた。遠くから見た方が分かりやすく前と違う。痛々しかった。


私が来られなかったこの8年くらいで、フランスには色々なことがあった。シャルリーエブド事件やバタクランカフェの襲撃、ノートルダムの火災、ニースでも無差別テロ事件があった。どれも近くで現場跡を見たかったけど、時間もなかったし、そんなミーハー心で見てはいけない気がした。だけどノートルダムだけでも近くで見られて良かったと思う。これらのせいもあり、フランスで警察を見ることは以前よりずっと多くなった。例えば北駅などのハブになる駅のような、人の多いところでの警官の目が本気だった。

お腹が空いてしまったので、Hôtel de villeの近くでお昼にする。Gambasってのが日替わりランチにあったので、これ何?と聞くとシーフードだというので、それとクレープサラサンというものにする。これはサーモンとブルーチーズ、クリームソースが入ってるそば粉のクレープだった。フリットとサラダ付き。Gambasは大ぶりのエビだった。下にはたくさんの野菜炒めが敷いてあり、クミンなどでスパイシーな味付け。こちらの方が美味しかった。クレープは、やはりうちの方が美味しいと思う。店員の男子や周囲を歩くフランス人の観察をして、ああだこうだとよっぺと言い合い、楽しかった。人間観察が本当に楽しい国だ。この辺りはおしゃれな人が多くて、見ているだけで楽しい。店員のポニーテールの女の子も可愛かったなぁ!行きたいお店のオープン時間まで30分ほどあったので、カフェクレームを頼んでハガキを書く。

右がGambas
右がGambas

その後に"メロディグラフィック"という文房具屋さんに行く。お客様のオススメのお店で、とっても素敵なところだった。男性が一人で店番をしていて、話しかけると丁寧に説明してくれる。フランス語に訛りがあるなと思ったら、イタリア人だった。なんと奥様が日本人で、隣りでお店をやってるとのこと。

すごく素敵なお店だった
すごく素敵なお店だった
レジの後ろにたくさんの手紙!世界各国からいただいたものだそう
レジの後ろにたくさんの手紙!世界各国からいただいたものだそう
自分にインクを2本だけ買った
自分にインクを2本だけ買った
奥様はカリグラフィーの先生で、オルセー美術館のドキュメンタリー映画にも出演していたりするらしい。日本のお菓子は美味しいとか色々話してくれて、楽しかった。練習帳やインク、カードなど買って隣りのお店にも寄る。奥様がいて、また少しお話する。夫婦で別々のお店をやってるなんて面白い。旦那さんのお店で、レジ付近の壁に手紙を飾ってるのがとっても良かったので、写真撮らせてもらう。
パリで泊まった家。最寄りはJasminとRanelagh
パリで泊まった家。最寄りはJasminとRanelagh
長居してしまったので、急いで北駅へ。かなり重いスーツケースとの移動は大変。ヘロヘロになって北駅に着く。駅の係員にブリュッセル行きの切符の買い方を聞いて買い、出発までしばし待つので両替することにする。スリに遭って、よっぺから少しお金を借りていたのだけど、成田で変えた時より1ユーロあたり20円ほど高くなってしまった。

ベルギー編


タリスという高速鉄道
タリスという高速鉄道

初めての国、ベルギーへはパリ北駅から電車で1時間半くらい。近い!タリスという高速鉄道で首都ブリュッセルに行ったのだけど、タリスは赤を基調にしてて綺麗な車内だった。充電もできるしWi-Fiも使えて快適な旅。ブリュッセル南駅の近くに宿を取っていたので、そこへまず行くことに。トラムの運転士に切符の買い方など聞いたら、旅人に好意的でとても優しかった。最後まで見送ってくれ、手を振られる。トラムのイプル駅を降りてからも道に迷ったのだけど、通りすがりのおばさんに聞いたら、親切に宿のある道を探してくれ、それでも分からなかったので近くの若者がスマホで検索して探してくれた。優しさにじんわり。ベルギー人の印象、だだ上がりです⤴︎


宿は20時までならいつでもセルフチェックインできるので、結局着いたのは19時近く。1階にあるパキスタンの食材店で鍵をもらえという指示だったので、名前を言って鍵をもらおうとしたら、宿主のサラさんがたまたま用事で来たところで、鉢合わせる。同じくらいの年かな?ステキな女性だった。明るくて、とても親切で丁寧。部屋の案内を直々にしてもらう。


が!この家がすごかった!!この旅で一番刺激的な家で、6階なのだけど、まずエレベーターからすごい。蓋のない箱が横向いてそのまま動いているようなエレベーターで、ものすごい音がなるし、ボタンを押した瞬間ガタンッと言って動き出すので、最後まで慣れなくて怖かった。アトラクションのよう。


一歩部屋に入ると、なんてステキな部屋!横長で鰻の寝床タイプなのだけど、全てが棚に収まってる、未来型の住居みたいな。説明しにくいけど、洗面スペースもガステーブルも、キッチンのシンクも冷蔵庫も洗濯機も、そしてシャワールームまでが!棚に収められてて、全て閉めたら何もない部屋のよう。は〜すごいねぇ、SFだねぇ!と何度も言い合う。棚を開けてはびっくりする、まるで宝探しのような部屋だった。

この左奥の扉の中にシャワー!!
この左奥の扉の中にシャワー!!
こうして全て収まっている
こうして全て収まっている
洗面スペースはこんな感じ
洗面スペースはこんな感じ
トイレはこの中!
トイレはこの中!
開き方が、斬新!
開き方が、斬新!
このソファで私は寝たけど、快適だった!
このソファで私は寝たけど、快適だった!

部屋を一通り探索してから、お腹も空いてたのでご飯を食べに行く。近くにあったフューチャーモダンな感じの中華のお店にした。ヌードルを食べたけど、麺はふにゃふにゃであまり美味しくなかった。ビールはラベルのかわいいベルギービール、ブデットにしたのだけど、それとよっぺの海老チャーハンは美味しかった。餃子もイマイチ。というか日本の餃子はレベルが高すぎると思う。

瓶がかわいいブデット
瓶がかわいいブデット
意外に美味しかった海老チャーハン
意外に美味しかった海老チャーハン

その後、聖バチスト教会と聖カトリーヌ教会を外だけ見て帰る。ライトアップされてて幻想的だった。ブリュッセルの第一印象は、街全体がこじんまりとしていて清潔感がある。そして人が多すぎず、優しい。帰りにスーパーに寄って、ヨーグルトとジャムとチーズと牛乳を買って帰る。

ヨーグルトは濃厚でとても美味しかった。ギリシャヨーグルトのような。ジャムも甘すぎず、ベリーたっぷり。スーツケースを持っての移動で疲れてしまって、この日はバタンキューで寝てしまう。
聖バチスト教会がにゅっと見えてくる
聖バチスト教会がにゅっと見えてくる
聖カトリーヌ教会
聖カトリーヌ教会
帰り道にあった壁画
帰り道にあった壁画
聖カトリーヌ教会の正面の沿道はステキなお店がたくさん
聖カトリーヌ教会の正面の沿道はステキなお店がたくさん
トラムの線路も美しい
トラムの線路も美しい

翌朝シャワーを浴びたけど、このシャワー室も狭くてすごかった。寝室の片隅にあるのだけど、初めての感覚。シャワーが外せないので、お湯が隅々まで届かない。宇宙船ってこんな感じかな。全体的に宇宙船っぽい家だ。


今日はブルージュという美しい街に行くので、お客様のセージさんの真っ赤なワンピースを着て行くことにする。でも寒いからサンダル履けないので、スニーカーと一緒に。中央駅の、切符を買うカウンターのおじさんがとっても感じが良くて、日本語を独学で勉強してるそうで少し話してくれたけど、漢字は難しいねと言ってた。にこにこ嬉しそうに話してくれて、ほっこりする。

ゴミ袋の色のセレクトがかわいい
ゴミ袋の色のセレクトがかわいい

ブルージュへはまたもタリスという高速鉄道で、やはり1時間半くらいだったかな。途中から雨が降り出す。着いたら完全に雨だった。駅からバスに乗り、市内一有名なマルクト広場へ。それにしても雨がよく降った日だった。寒いし、雨に濡れて冷えてしまってお腹も空いたので、お昼をまず食べることに。


近くのビストロ?ブラッスリー?に入って、野菜スープとボロネーゼを頼む。よっぺはホットティーとハムチーズのパスタ。ここのお店は内装も素敵だった。ギャルソンが、レオンの頃のジャンレノのよう。翡翠のような色の野菜スープが格別に美味しかった何を入れたらこの味になるのか、レシピを聞きたいくらい。その後に来たボロネーゼも、見た目は全然なのだけど(失礼)野菜がいっぱい入っててトマトが濃くて、すごく美味しい。サービスはあまり良くないし、呼んでも来るのが遅いのだけど、このお店はかなり美味しかった。というか好きな味だった。よっぺのパスタもチーズが濃くて美味しい。でもとにかく来るのが遅いので、チップは置かずに出る。

このスープが美味しかった!
このスープが美味しかった!
大して美味しそうに見えないのに絶品
大して美味しそうに見えないのに絶品

傘は一本しか持ってこなかったので、雨に濡れながらブルージュの街を散策する。調理器具のお店や雑貨屋を見たりするも、やはり寒すぎて一旦スタバに避難したりする。ヨーロッパでスタバに入るのは不本意なのだけど、寒いし近くにカフェがないし仕方ない。


出てからまた少しお店を見て、細々したものを買い付けたりする。しかし寒いので早めに帰ろうという事になり、あんまり寒いので、途中のお店でグレーのセーターを買う。15ユーロくらい。これでだいぶ暖かくなった。


駅までの道を迷ったりしながら、ブルージュの駅に戻る。電車でブリュッセルに戻って、タンタンのお店などに行ってから、グランプラスという有名な観光地の広場に行く。しかし雨。あまりちゃんと見れずに、ベルギーワッフルを2種買って、タクシーに乗って帰る。この時のタクシーの兄ちゃんは、若くてやる気があってとても良い人だった。タクシーも安い。

とにかく寒い!でも街はきれい
とにかく寒い!でも街はきれい
馬も寒そう、、
馬も寒そう、、
タンタンはベルギーのものだよ
タンタンはベルギーのものだよ
素敵な壁画が路地裏にいきなり現れる
素敵な壁画が路地裏にいきなり現れる
これも面白い壁画。立体的に見えるようにわざわざ描いてる
これも面白い壁画。立体的に見えるようにわざわざ描いてる

明日はベルリンへ移動で朝早いから、晩ごはんは家の近くのお店にする。何にしようか考えて、ベルギー最後の晩なので、ムール貝を食べようということになり、Googleで調べた近くのレストラン"Rugbyman no.2"という謎の名前のお店(でも口コミが良かった)に行くことにする。


忙しそうな店内、割と大人のムシューが2人ほど接客してくれて、雨の中たくさん歩いて疲れていたので、「あんまり量は食べられない」「でもムール貝は食べたい」「あとオマールエビも食べたい」と厚かましい注文をしたのに、じゃあ2人に1つずつ、ムール貝の小ポットと、オマールエビを半分ずつかな!と言って注文してくれた。


ここで無料で付いてきたカリカリのパンとパテが超美味しかったので、これ何?と聞くと「僕は分からないんだよね」と言うから「え?知らないんですか?」と聞くとニコッとして教えてくれた。ジョークがよくわからない。。オリーブとアンチョビのペーストだと言うが、これをサービスで出してくれるなんて贅沢!という味。


ビールと一緒にムール貝も届いて、これもすごーく美味しかった!それぞれ別の味にしてくれてて、よっぺのが白ワインのさっぱりしたソース、私のが生クリームとにんにくの効いたコクのあるソースだった。いくらでも食べられそうだったけど、小ポットでも充分入ってて大満足だった。


その後お腹も落ち着いた頃に「どう?続けられそう?」と聞かれて、「もちろん」と言うと、オマールエビがやってきた。すごい。。何というか、グロテスク!どうやって身を剥がすんだろう?エビ用のフォークがあったので、何とか使ってみる。母も苦戦していたので、「母を手伝ってあげてくれませんか?」と言うと「喜んで」と言ってやってくれた。


オマールエビはたぶん初めて食べたけど、美味しかったというより、戦ったような気分。解体してから食べ終わるまで、なかなか大変。ムール貝の方が美味しかった。


喉が渇いたので、「(無料の)水道水を下さい」と言うと、「ないよ」と言われて、これはまた気の利いたジョークだと思ったら、本当になかった。ことごとく予想外。。


でもお店の人たちはみんな感じが良かったので、良い気分で帰る。もう明日はベルリン。あっという間の2日間だった。また来られると良いなぁベルギー。

ムール貝のミニポット
ムール貝のミニポット
戦ったオマールエビ
戦ったオマールエビ

ドイツ編


朝早くトラムと電車を乗り継いで、空港へ。ブリュッセル航空という初めて使う航空会社。空港のカフェでコーヒーだけ頼んで、昨日買ったベルギーワッフルを食べる。美味しい〜!ブリュッセルでは、駅ナカの何でもないお店でもワッフル食べたのだけど、とっても美味しかった!やっぱりワッフルとビールのイメージは間違いではない。ところで、ここでは荷物なしのチケットを取ってしまっていたようで、超過料金40ユーロを払うことに。あぁもったいない。でも安いチケットなので仕方ない。

1時間半ほどでベルリンへ着く。この便は出発が20分ほど遅れた。そして着いてから宿の人に連絡しようと、空港でWi-Fiにアクセスしようとするも、全然繋がらず。荷物も全然来なくて、ドイツなのになぁとか思ったりする。


やっと荷物もピックアップできたので、空港からタクシーで向かってしまおうということになり、アンソニーホプキンス似の運転手のタクシーに乗る。英語で色々話してくれて、宿の真ん前まで行ってくれた。


しかしWi-Fiがないとホストに連絡ができないので、近くのカフェに入る。Wi-Fi入る?と聞くと入るとのことだったので、ランチがてら、サンドイッチとチーズケーキ、カプチーノを2つ頼んで、宿の主に連絡を取る。優しい人で、だいぶ遅れたし連絡もつかなかったのに、全く問題ないよと言ってくれた。チーズケーキが大きすぎて食べきれず、半分持ち帰る。


宿に行くと、隣人だという女性がいて、宿の説明などをしてくれる。英語があまり話せないようだけど、笑顔で感じ良かった。そしてここもステキな部屋だった。さすがベルリンの、シンプルだけど壁紙がグリーンだったり、トイレがタイル貼りでかわいかったり。でもハンガーと洗濯物干し、シャンプーリンスと電子レンジはあった方が良かったかな。

美味しかったけど大きすぎて半分持ち帰ったチーズケーキ
美味しかったけど大きすぎて半分持ち帰ったチーズケーキ
さすがお洒落なベルリンの民泊
さすがお洒落なベルリンの民泊
タンク式でなければ最高だった、シャワー&トイレ
タンク式でなければ最高だった、シャワー&トイレ

雨が降ってきてしまったので、傘を持って近くのイーストサイドギャラリーを見に行く。ギャラリーと言っても、ベルリンの壁のあった場所の跡地で、壁にいっぱいの絵が描かれている。色んな国の人が描いていて、すごくカラフル。個性と個性のぶつかり合い。見るだけで楽しかった!自分だったら何を描くか考えたり。有名な『兄弟のキス』(最後の写真)のところはやはり人がたくさんいた。

その後、少し迷ったりして、たくさん歩いてしまう。私は平気だけど、さすがに雨の中よっぺは足も疲れたようで、宿の近くにあったベトナム料理店でフォーをいただくことにする。お店の内装も可愛くて、若い子がちらほら入ってるステキなお店。このお店のウェイターの男の子、ベトナム人なのかな?親切で、はにかみながらもちゃんと料理の説明してくれて、英語が完璧で声がすごく良くて、カッコ良くはないのだけど色気がある男子だった。最後に「どうだった?美味しかったか聞きたくて」とか聞いてきて、和む。ドイツ語を話せないので、こういう交流はあまり期待していなかったので、一層ほっこりする。ビーフとチキンのフォーと餃子を2種、そして水を頼む。冷えた身体にしみて美味しかった。そういえばガスなしの水はstill water というんだ、と彼のおかげで思い出す。

可愛らしい内装
可愛らしい内装
すごい味だったよ、このお茶!そして日本語の健康十訓
すごい味だったよ、このお茶!そして日本語の健康十訓
美味しかったなぁ、、フォー
美味しかったなぁ、、フォー

宿の近くのパン屋さんで朝のパンを買って帰る。部屋を片付けたり、お互い色々やるべきことをやる。夜になって、よっぺがお風呂に入るというので、先に入って良いよと言って入ってもらったのだが、出てから「最後の方、ちょっとぬるかったんだよね」と言ってた。嫌な予感がしたが、その後に入ったら、お湯を出してもみるみるうちに冷たくなっていく!寒い!こんな18℃くらいの日に、何が悲しくて水を浴びなきゃならないんだ!と怒り心頭に達して、ちょっと!シャワーが冷たい水なんだけど!!と叫んで不服を訴えるが、そんなことで水は温かくなどならない。シャンプーの途中で水になったので、リンスはせず、身体も洗えずに震えながらシャワー室を出る。チアノーゼになるよ!


出てから聞いたら、シャンプーなどしてる間も、ずっとお湯を流しっぱなしにしていたらしく、おそらくここはタンク型のシャワーで、タンクに溜まってるお湯がなくなり次第、お湯は出なくなるパターンのやつだと判明し、激怒する。


なんで!流しっぱなしなんかにするんだよ!と怒鳴りつける。今までどの家でもそんなことしてなかったらしいけど、最後の宿だし、毎回出すのが面倒だから良いか、と思ったらしい。ヨーロッパのタンク型のシャワーのことを知らないよっぺは、実は悪くないのだが、私も疲れてたし寒いし、温かいシャワーを浴びたかったのに冷水で頭を流さなければならない不条理に、ものすごく頭にきて罵詈雑言を浴びせる。


よっぺも言われ過ぎて頭にきたのか、「普段の行いが悪いんじゃないの?」と言われて堪忍袋の緒が切れ、ついに口を聞かなくなる。よっぽど私の形相が怖かったのか、「ごめんね風邪ひかないでね」と言って早々に寝てた。本当だ。私が風邪をひいたら1人じゃ何もできないくせに!と無視する。その後、私は落ち着きを取り戻し、インスタをアップしたりハガキを書いたりして寝る。


親子なので言いたい放題言うが、結局寝れば忘れるのが良いところ。今日は観光ができる最後の日なので早めに起きて、朝は昨日買ったパンを食べたけど、やっぱりドイツパンは美味しい。ひまわりの種かかぼちゃの種みたいのが付いてるパン、なんて言うんだろ?この硬めのパン、とても好きだ。よっぺのも美味しかった。


 

こういうパンが大好き
こういうパンが大好き

そしてベルリン初日にも行った近所の"café 9"に行く。ここは店員さんもみんな感じが良くて、Wi-Fiも入るし、雰囲気も落ち着くので、カウンター席でよっぺと並んで座り、カフェラテとガトーショコラを頼んで、食べながらハガキを書く。バリスタのお兄さんがブルーのシャツとエプロンのさり気ないオシャレで、ラテいれるのも上手で素敵だった。こういう人を見ると、やっぱりベルリンはおしゃれだなぁと思う。外を歩く人やテラス席でおしゃべりしてる人も、自転車に乗ってる人も、みんなそれぞれ力の抜けた、さり気ないおしゃれを楽しんでいて、見ているだけで楽しい。


ハガキに絵を入れたりしてるので時間がかかり、1時間半くらいは居座り、12人分くらい書けた。その間、よっぺは横で暇を持て余し、スケッチブックに目の前のカフェの絵を描いていたので、少し私も手を加えたりして、存分に楽しんで出る。

混んでるカフェ9
混んでるカフェ9
たくさんのハガキを書きながら人々を眺める
たくさんのハガキを書きながら人々を眺める
かわいいおじさんが1人でご飯食べてた
かわいいおじさんが1人でご飯食べてた
私も座ってみる
私も座ってみる

もう旅も終盤なので、ドイツの買い付けもしなければと思い、アレキサンダープラッツという駅から少し歩いて、ハッケシェーヘーフェという中庭のあるタイル張りの美しい建物で、ちょこちょこしたものをいくつか買う。ベルリンならではのものを買おうとすると少し高めになってしまうけど、やはりデザイン大国だなぁと思う。洗練されたデザインのものが多くて、私たちのアンテナに引っかかり、かつ高すぎないグッズを数点買う。やはり買い物は楽しい。初日にスリに遭ったので、私は今回は自分のものはほぼ買ってないのだけど、それでも買い物は楽しい。これはあのお客様が喜んでくれるかな?とか想像したり、あの人に良いかも!とかあの人に似合いそう!とか考えるのも楽しいひととき。

途中で見つけた画材屋さん
途中で見つけた画材屋さん
こんな古い建物にもアーティスティックなグラフィティが
こんな古い建物にもアーティスティックなグラフィティが
電車の車窓から見えた、2人の大きな人間のオブジェ
電車の車窓から見えた、2人の大きな人間のオブジェ
2度目だけど、やっぱり可愛いハッケシェーヘーフェ
2度目だけど、やっぱり可愛いハッケシェーヘーフェ
タイルが素晴らしく美しい
タイルが素晴らしく美しい
ここは古い映画館。上映作品もマニアック
ここは古い映画館。上映作品もマニアック

お腹が空いたので、ムッターホッペ(ホッペおばさん)というお店に行く。 このお店、以前ベルリンに留学していた友達が連れてきてくれたところだ。たまたまガイドブックで見つけたので行ったのだけど、お店の前に来て思い出す。内装も素敵で、お店も広く、観光客も地元の人もたくさん。とにかくお腹が空いてたのでハンバーグを頼みたかったのだけど、全然担当のウェイトレスの子が来ない。ついイラっとして、メニューごと持って探しに行くも、途中で「今行くから」と止められて席に戻され、やっと注文できた。その間おそらく15分くらいだけど、お腹が空いてる時に注文までをそんなに待たされるのは辛い。


その後もだいぶ待ったけど、やっとハンバーグが来た。すごい量!何がすごいって、じゃがいもだよね!毎回すごい量が来る。やはりじゃがいも大国ドイツ。フライだろうがマリネだろうが、完全におかしな量が来る。ここは付け合わせに、じゃがいもとブロッコリー、カリフラワー、にんじん、セロリなどの温野菜がこれでもか!というくらい乗ってる。案の定よっぺは食べきれず、残りを差し出してきたけど、さすがの私もこの量の芋は無理です、と残してしまった。


お水を頼んでから、この近くの郵便局の場所をウェイトレスの子に聞く。美人で大人っぽいけどおそらく20代後半くらいのその子は、OK、郵便局ね!と言って、レシートの裏にササっと地図を描いて説明してくれた。こういうの、すごくグッとくる。「ダンキンドーナツのところを曲がるのよ」とか「ここは人しか歩けないところね」とか言いながら細かく教えてくれた。帰りがけに再度、仕事中の彼女を見つけて「地図もありがとうね!」と言ったら、嬉しかったのか良い笑顔で背中をさすって「またきてね」と言われる。イラっとしたこともあったけど、それを上回る良いこともあったお店だった。


結局、彼女の地図は合ってたけど、私の距離感が掴めず、ダンキンドーナツないじゃん!と迷ってしまったのだけど、遠回りしてやっと見つける。日本へのハガキ発送のための切手を買い、貼ってその場で出す。10.95ユーロ。もっと書けばよかった。

私たちの座った部屋はミシンがたくさんあった
私たちの座った部屋はミシンがたくさんあった
すごい量だよ!美味しいけどこの私でも食べきれない
すごい量だよ!美味しいけどこの私でも食べきれない
かわいいお店のロゴ
かわいいお店のロゴ
内装も素晴らしい
内装も素晴らしい
クマとチェスをするムッターヨッペ
クマとチェスをするムッターヨッペ

その後は、観光客でいっぱいのブランデンブルグ門だけ見に行って一旦帰り、宿の近くのマーケット"マルクトハレノイン"に行くことにする。


すごいマーケットだった。。毎週木曜にやっている、世界の国々の屋台が一堂に会するイベントなのだけど、こんなに若者がうようよいるベルリン、初めて見た!ってくらい集まってる。活気があって、みんな楽しんでる雰囲気が伝わってきて、とても良かった。私たちもドイツ料理の屋台で、カリーブルストとポテトフライ、ビールを頼んで端っこの方で食べる。あんなに広いのに席はどこも空いておらず、立って食べたけど美味しかった!パン屋さんも出店してたので、美味しそうなドイツパンのサンドイッチなども明日の朝用に買っておく。更に魅力的だったアイスを販売してる車があったので、その列に並んでグリーンティーのアイスを食べる。若い女の子2人でやってたのだけど、すごく美味しかった!やっと空いてる椅子を見つけ、色んな人を観察しながらアイスを食べる。楽しい!

ビールを持って出ようとしたら、お酒の瓶は持って出てはダメならしく、ちゃんと入口に瓶のゴミ箱があって、「ここに捨てて出て」と止められた。さすがドイツ。分別もしっかり。

後光さすブランデンブルグ門
後光さすブランデンブルグ門
裏側の方が逆光でなく撮れた
裏側の方が逆光でなく撮れた
若者がこれでもか!というほど集まってるマルクトハレノイン
若者がこれでもか!というほど集まってるマルクトハレノイン
このアイス屋さんで抹茶アイスを買った
このアイス屋さんで抹茶アイスを買った
カリーブルストもポテトも美味しい!
カリーブルストもポテトも美味しい!
抹茶アイスもたまらん
抹茶アイスもたまらん
おじさんもさりげなくお洒落なんだよね
おじさんもさりげなくお洒落なんだよね

満喫した帰り、マーケットに隣接してるコンビニみたいなお店でヨーグルトを買うも、家に帰ってからよく見たら、賞味期限が大幅に切れてる、、面倒だけどまたお店に行き、「これ期限切れてないですか?」と聞くと、「oh,fck!」と言って、「sorry!」と言いながら多めに返してくれた。やっぱりちゃんと言わないといけないな。ヨーグルト食べたかったんだけど。


帰ってから荷物をパッキングする。今回は完全に持ってくる洋服を間違えた感があり、やはりヨーロッパの9月をなめてはいけない。革ジャンやダウンを着ている人が半数くらいいた。しかし半袖の人もいたり、本当にそれぞれ個人で違うのもヨーロッパ的なのだけど。


お土産展のための買い付けした品々を入れたら、本当にギリギリの荷物量。パッキングが終わったので、今日は先にシャワー浴びさせてもらう。なるべくお湯を使わないように注意しながら、無事に2人とも浴びることができてよかった。


明日も朝早いので、早めに寝床につく。旅の間は、日本では考えられないくらい早起き。それができるのも不思議なのだけど、トラベラーズハイなのか、毎回そう。


朝早い便だったので、ご飯を食べずにそのまま空港へ。スーツケースを持っての移動は大変なので、やはり宿の最寄り駅で見つけたタクシーに声をかけて乗る。この人はトルコ人で、やはり感じが良かった。今回は母もいるのでタクシーによく乗ったけど、毎回良い人で話好きな人が多かった。トルコ人のこの人は、ベルリンのことも好きだけど、やはり故郷が一番好きなのだろう。私が大学の時にトルコに行ったと言ったら、とっても嬉しそうに「良かったでしょう?」と言うので、「美しい国だったよ」と言うと何とも満足げだった。


空港に着いてから、カフェでカフェオレだけ頼んで、パンを食べる。ギリギリだけど、発つ前にハガキを書き終えて搭乗する。


ベルリンから日本の便はちょうど良いものがなかったので、フランクフルトから日本の便を取っていた。なので最後の街となるフランクフルトへ。着いてからはあまり時間もなく、なのにお昼ご飯を食べたくて、無理矢理入ったお店で、フランクフルトソーセージとファラフェルを頼む。とても忙しいお店で、店員たちもテキパキしていて見るのも楽しく、美味しかったのだけど、なかなか注文したものが来なくて、フランクフルトで飛行機に乗る時は最後の乗客になってしまった。



すごい勢いでかきこんだ、ファラフェルとフランクフルトソーセージ
すごい勢いでかきこんだ、ファラフェルとフランクフルトソーセージ

帰りは北京経由。北京の空港はものすごく広く、正直ムダではないかと思うくらい間にはほとんど何もないのに、えらい遠くまで行かされた。そこで2時間ほど待ったので、うとうと寝たりして過ごす。


帰りは早く感じた。実際、往路の成田ーパリより、復路のフランクフルトー羽田は2時間ほどは早いのではなかったかと思う。今回は8回ほど飛行機に乗った。一度の旅でこんなに乗ることはなかなかないので、さすがに慣れた。母も私も飛行機は大好きだ。少しくらい揺れても平気。いくつになっても窓から見る異国の地はキラキラしていて、母も目を輝かせて「ほら!見て見て!」としょっちゅう言ってきたものだ。


大変なこともたくさんあって、凹んだこともキレたこともあったけど、なんだかんだですごく楽しかった。きっと忘れられない旅になったことだろう。親孝行も少しはできたと思いたい。


●世界の空港考●


小さな頃から旅行は好きだけど、特に飛行機、そして空港が好きだ。旅立ちの前はワクワクするし、帰国した時のノスタルジーもまたたまらなく好き。


前にも書いたけど、今回は8回ほど飛行機に乗った。行きの成田ーパリ、帰りのフランクフルトー羽田は、中国国際航空(Air China)を使った。行きは上海経由、帰りは北京経由で初めての中国上陸。どんな空港だろう?と思っていたけど、少し前の成田空港のような感じかな?街のことは分からないけど、空港は北京の方がモダンな雰囲気だった。それにしても、どちらも広い。だだっ広い。


上海でまずびっくりしたのが、セキュリティチェックの時に、やたら身体を触られたこと。テロなどがあってから、より取り締まりが厳しくなったのか、これは世界的に思うことだったけど、テロがあったフランスはそこまで厳しくなかった気がする。


旅に出ると、毎回どこの空港でも何かしら買いたいと思っている。例えばアエロフロートで行ったモスクワでは、マトリョーシカ型のスノードームを買ったり、しょうもないもので高くないもの(お菓子とかでも)を買って楽しんでいるのだけど、今回の中国では時間もあまりなくて、何も買えなかったのが残念。パンダのスノードームとか、身体に悪そうなしょうもないお菓子とか買いたかった。


そして次は上海ーパリ。機内食も大好きだけど、やはり中華は美味しかった。可もなく不可もない印象のエアーチャイナだけど、充分だった。


パリーニース間もエールフランスで空路を使った。圧倒的に早いので。そしてエールフランスは良い。CAも、フランス人にしては珍しく(失礼)生き生きと働いている気がする。年齢が若すぎないのも落ち着いてて良い。


そしてパリーブリュッセルは高速鉄道を使ったので、今度はブリュッセルーベルリン。ブリュッセル航空という初めて使う航空会社。ブリュッセルの空港は広々としていて良かったけど、これがなかなか曲者で、出発が遅れたり荷物がなかなか来なかったりして、大変だった。


そしてベルリンに入った時のWi-Fi繋がらなさには困った。どこの空港でも大体繋がったので完全にあてにしていたから。何せポケットWi-Fiを盗まれてしまったので、空港のフリーWi-Fiは命綱なのだ。これはベルリンのテーゲル空港があまり機能していない証拠かも。いずれなくなるという噂を聞いたけど、あり得るかも。首都なのに、フランクフルトの方が大きいし利用客も多いらしい。


帰りはベルリンーフランクフルト。これはルフトハンザで、何度か使っているのだけど、荷物の重量にとても厳しかったイメージがあり、超過料金取られないか、ビクビクしながらチェックイン。それは大丈夫だったけど、フランクフルトー北京のセキュリティチェックが、今までで一番厳しかった。


荷物をX線の機械に通したら、その奥にあるパーテーションのあるところに連れて行かれ、手をT字に広げさせられ、ものすごく触られた。もちろん女性職員だけど、胸だろうが股だろうが、いくら仕事とはいえ、セキュリティのためとはいえ、そこまで触って良いものかと思うほど。ブラジャーの中まで触られたのは初めて(当たり前)。ドイツのコントロールの恐ろしさよ、、だからテロなどが起きないのかとか思ったり。でも母は触られてなかったので、私が怪しいと思われたのかもしれない。何か持ってるならこいつだろう、と。


荷物チェックでも、問題のある荷物の方に送られたから、「たぶんラベンダーのアロマオイルだと思う」と言ったら、「そんなことは聞いてないのよ!あなたは私の聞いたことに答えれば良いの、分かった?」とすごい剣幕で言われてたじろぐ。そんな言い方しなくてもと思ったので、カチンと来て「…OK」と言ったら、怒ったのが伝わったのか、「ハンドクリーム系は全て液体よ」と言いながら透明の袋に入れてくれ、今度はこの袋をちゃんと買ってねと言われる。


空港で働く人というのは、最後に会うその国の人であり、それによってその国の印象が台無しになったり、すごく良くなったりするということを、職員の皆さまは考えた方が良いと思う。


かつてモスクワで、空港の中の土産物店でレジに座っていた女性に、アメリカ人観光客一家のお父さんが、何か土産物のことで質問していたのだけど、完全に無視していたのを見たことがある。ええ!?!と思ってびっくりしたのを覚えているのだけど、聞こえているのに完全無視、そしてその人は諦めて両手を肩まで上げるお手上げの動作をして、店を出て行った。そりゃそうだ、そんな店員見たことない。この人によって、ロシアのイメージがだだ下がるだろう。もちろんそんな人はそうそういないことは分かってるけど、嫌な思い出にかなり大きな一役を買うことをどうしてわからないのかな、と思う。


そこまでのことではなかったものの、ドイツの空港の印象は鮮烈に残った。ドイツは大好きだけど、融通の利かなさとコントロールの厳しさはもう少し緩和されると良いなぁと思うところ。せめて笑顔で明るければなぁ。


そんなこんなで、北京ー羽田に帰ってきた。言葉が問題なく通じるからというのもあるけど、帰ってきてやはり日本の便利さはすごいと思った。無駄がない。その分ふれあいやコミュニケーションもあまりないのだけど、利便性を考え尽くしている。